祝!アルバム「かがやき」高木正勝
つらつら思い出し日記
<第二回>








2013年6月

少しさかのぼって引っ越す前の6月。

NHK福井開局60年記念ドラマ「恐竜せんせい」の音楽を担当することになりました。



撮影地の福井県勝山へ。

福井弁なのでしょうか、話の語尾が字あまり気味で、節がついてました。まるで唄っているよう。
触発されて、「彼の地にて」のような、後ろに後ろに引っ張っていくような曲ができました。


主人公のテーマ曲が必要だったのですが、
「彼女は子どもの頃からどんな唄を大事にしていたと思いますか?」とプロデューサーの須崎 岳さんに聞いてみると、
「『ともだち100人できるかな』かもしれない」。

「よきにむかえ」「うそひめ」など、ゆるやかに『ともだち100人できるかな』を感じてもらえると思います。









「彼の地にて」
はじめて日本語で歌詞を書いてみました。
「おかあさんの唄」ができてから、ずっと挑戦したかった。
つくったとき、引っ越しはまだ頭になかったのですが、まるでそれからの村での生活を言い当てているような、旅立ちの曲になりました。




あのときの自分のまとめや憧れが詰まってるなと感じます。

「恐竜せんせい」と、あとは「I am Water」が引っ越し前の、亀岡での最後の音楽になりました。


「かがやき」には9曲抜粋しましたが、全20曲のサウンドトラックはiTunes Storeなどで配信しています。

https://itunes.apple.com/jp/album/kong-longsensei-orijinaru/id828419734








2013年9月〜10月






縄をなったり


湧き水を汲んだり



火を熾したり



溝を掘ったり



空を見上げたり


畑で土に触れたり



屋根裏にのぼったり



草を刈ったり




栗をひろったり








少しずつ、身体に入ってくる。
ゆっくり、手が覚えてゆく。



隣の’とうりょう’が縄をなっている。
教えてもらうも、これがまた難しい!







炭焼きのおじしゃんたち。家の木の剪定に来てくれました。なにせ、かっこいい。




若者も負けてません。同い年の茅葺き職人、相良育弥くんが縄文まつりの舞台をつくる。

2013年10月

淡路島でひらかれる縄文まつりに誘われました。

廃校になった小学校をつかって、衣食住にまつわる諸々を学んだり、みんなで演奏したり。

草木や泥で染める。茅で屋根を葺く。土で壁をつくる。石の笛を吹く。

自然が与えてくれるものを、どう扱えばいいのか。

面白いほど、村での暮らしに繋がっていく。
やりたいこと、知りたいこと、どんどん膨らみました。
一気にたくさんの仲間ができました。



重ね煮。みんなで食べる。



音楽室でまなぶ。















茅葺き職人の育弥くんは、兵庫県の田舎育ち。
身のまわりの植物や虫や動物や。小さな頃から大好きなんだろうな、ほんとうに詳しい。蛙のことを話してる時が楽しそうで、「あまみず」はそんな彼を思い浮かべながら奏でました。夏の前後、そこいら中、蛙たちで溢れかえります。草野心平さんの「誕生祭」という賑やかな詩のように。



縄をなう。


竹で楽器をつくる。


勢いで、バリ島にまで。



縄文まつり主催の笹山かおりさんには、たくさんたくさん繋げてもらった。写真を振り返ってみると、そこここに。よく遊びました。






草木染めのkittaさん。
彼女が染める布は、例えば「赤紫」といっても一色じゃなくて、何億色もグラデーションがあるように見えます。自然から頂いた色は、豊かです。
そんな豊かな母性に溢れるkittaさんが「おむすひに入ってる『Horo』が好き」と言ってくれたので、何か歌い返したいなあと出てきた曲が「ぬのふね」です。





そして、ちょうどその頃、映画「夢と狂気の王国」のサウンドトラックに取り掛かっていたのでした。

縄文まつりのあれやこれやが自然と音に入っていきました。











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